下戸が酒を語る。

下戸デザイナーが酒を語りデザインします。

下戸がハードボイルドに憧れる

子供のころ、今映画で話題の「CITY HUNTERシティーハンター)」や「ルパン三世」のいわゆるハードボイルド系のアニメが好きで見ていた。冴羽 獠やルパン、次元などに憧れて育った私は子供ながらに、いつかバーのカウンターでウィスキーのロックを呑む大人になるものだと勝手に思いこんでいた。

 

成人をむかえ法律的にお酒を呑んでいい年になった私は大人への一歩〝酒〟をたしなむ。一番、最初に口につけたのはビール。父親が風呂上がりに呑むビール。居酒屋で大人がとりあえずビール。お酒と言えばビール。ビール、ビール、ビール…。

 

子供のころ父親が美味しそうに呑んでいたビールを隠れて呑んだときの印象は苦かった。泡に口をつけるだけで苦い。こんなもんをよく呑むな。と思う。ただ、心のどこかでは大人になったら呑めるもんだと思いこんでいた。

 

実際に成人をむかえビールを呑んでみたら苦い。大人になったからといって味覚が変わるわけでもなくただただ苦かった。他にも、チューハイを呑んでみたが美味しくない。顔が赤くなり頭が痛くなる。なぜ、こんなものにお金を払って呑まないといけないのか理解が出来なく怒りすら覚えてきた。

 

憧れていた大人にはなれなかった。

私は下戸だった。

  

それから酒とは縁をきると決めた。が昔は今の時代とは違い社会人になると大人の付き合いがある。上司が酒を呑みにいかないかと誘われたら行かなければいけないし上司のお酒も断れない。(今の時代では考えられない。)酒とは縁を切りたくても切れない時代だった。呑んでるフリをしつつバレないようにバレないように存在感を消して細々と生きてきた。

 

ただ、お酒を呑むことへの憧れは断ち切れずに呑みやすいお酒からはじめてみた。コンビニで売っているカクテルは美味しくはないが呑み屋で呑むカクテルはジュースみたいで美味しい。パッソアパインが私のはじめてのお酒。それから、シャンディガフを覚えハイボールを覚えた。

 

徐々にお酒には呑めるようになっていったが、相変わらず下戸だったし、量も呑めない。ビールに関しては苦手意識もありハードルが高かった。日本酒、ウィスキー、ワインなんてもってのほかだ。

 

ハイボールブームがきてビールの代わりに一杯目はハイボール。というビールの呑めない私には都合のいい時代がきた。一杯目はビールで乾杯という悪しき風習がハイボールならOK。に変わったのだ。私も世の中もどんどんビール離れが進んでいく。

 

30歳をむかえたとき病院で血液検査をした。結果、血糖値がスーパーサイヤ人並みに高く糖尿病の一歩手前と言われた。普通にショックだった。

 

検査結果が出た晩に先輩と呑みにいく約束をしていたので一軒の呑み屋にいった。先輩は大酒呑みで時間関係なしに常に酒を呑んでいるような人だ。厄介なのが呑めないと分かっていても酒を呑ませる人だった。いつものようにハイボールを頼んで呑みながら何気なく糖尿病かも。って伝えたら持っていたビールを私の口に押し付けてきて「おめでと〜!」と言われながら強制一気飲みをさせられた。

 

苦手なビールが口に入った。とは思わずにビールが喉へ直行してくれたので、はじめてビールの喉越しを味わったのだ。美味しいとは違う感覚だったのだけど、苦手ではない。と思った。

 

もう一度、確認したくて人生ではじめてビールを頼む。二杯目のビールは美味しかった。嬉しくて嬉しくて勢いよく呑んだ。

 

酔っ払った。

 

バカだった。ビールは呑めるようになっても下戸は下戸だということに気づく。ただ、ビールを呑めるようになったのは大きな一歩だった。まだまだ一杯目はビールとは言えないがかなりの進歩だ。しかし、糖尿病と言われた日にビールが呑めるとは思わなかった。

 

あれから7年。現在は一杯目はビールを頼むし、ハイボール、日本酒、ワイン、ウィスキーも呑めるようになった。昔のコンプレックスで今だに自分は下戸だと思ってはいるが、はじめて呑みにいく人には酒が強いと思われることが増えてきた。

 

おそらく下戸を脱却したのだろう。

 

現在、ビール離れや忘年会自粛モードなど、お酒を遠ざける言葉をよく耳にする。このままでは呑めない人が呑めないままになるのではと危機感をもった。別に本当に嫌なら呑まなくていいが私と一緒でお酒に憧れているけど下戸だから呑めないと言う人に克服できた呑み方を伝えたい。

 

っという訳でブログはじめました。

 

 

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